裁判傍聴ブログ

旭川地裁を中心に裁判傍聴記を書いています

老後の喫茶店経営なんて失敗するに決まってる

サエキが札幌で喫茶店経営に乗り出したのは60歳のころ、子供が独立し妻と二人で食べていければいいというものだった。

よくある話だろう。夢だった喫茶店経営。退職金を元手に始めるものもいれば、そうでないものもいる。サエキはパンフレットなどの印刷会社を経営していて、それを倒産のような形で解散させていた。だから資金はない。

そこで資金提供をしてくれるオーナーが現れ、サエキは雇われ店長としてスタートした。夢の喫茶店は2年もった。

「撤去費用に80万必要」といわれサエキは困った。そんな金はなく、そもそもオーナーが払うべきではないか?と思ったら「半分やる、後はお前が何とかしろ」といわれただけだった。サエキは40万の金策に走った。

通常の銀行では融資は受けられない。収入のないサエキに金を貸してくれるのはヤミ金融だけだ。藁にもすがる気持ちでインターネットで検索して電話をかける。

「収入がないんだからさ、その代わりやってほしいことがあるんだよね」と友達に話すような口調でヤミ金融の男は言った。やってほしいことといわれて指示されたのは銀行口座を作って、東京のとある住所まで送ること。「友達に通帳とカードを一時的に預けるだけだから」と言われ、怪しいと思いつついくつかの口座とカードを作った。

イオン銀行セブン銀行、ゆうちょ銀行いくつかの口座を作り、番号などを控えておいて東京の住所まで送った。結局カネを借りることはできなかった。その前にサエキのゆうちょ口座が凍結され、そうとは知らず郵便局でサエキは局員にとがめられた。

 

旭川地裁1号法廷でサエキは裁判官に言われた。

「・・・・オレオレ詐欺が社会的問題になっているって、あなたならわかるでしょ?」はい

「どうしてやってしまったのですか?」せっぱつまってしまいました

ヤミ金融以外の方法はなかったのですか?」前の倒産のときに親族に迷惑をかけてしまっていて・・・

「今日は奥さんは傍聴に来ているのですか?」いえ、仕事でこられませんでした。

 

求刑は1年6月。オレオレ詐欺の事件は本当に甘くない。知らなかったでは済まされないのだ。さすがに執行猶予は付くだろうけど、口座を作って郵送しただけで裁判になり、1年6月の求刑をされてしまうのだ。

 

後記

「喫茶店」というワードが気になった裁判でした。

「Cafe」じゃねーの?

と内心驚きます。印刷業とはいえ元経営者、どんなビジネスプランだったのでしょう。

被告は60歳で角刈りのゴツイ感じです。おいしいコーヒーよりはカツ丼を作ってくれそうな見た目。印刷業で長いこと生きてきた顔に見えます。

資金もなく、いきなり札幌で、雇われの店長をやる。そこがもし人の流れの激しいところで収益が望めるなら、まずマーケティングの会社に依頼すべきでしょう。そうゆうプロがいるんです。

そして大体のおいしい場所にはスタバとかマックが立っています。だから個人でやるなら極限までコストのかからない場所で、長い時間がかかることを覚悟しなければいけません。

どんな客層を想定していたのでしょうか?まったく想定していなかったのでしょうか?

60でも警備員とか仕事はいっぱいあります。なのに経営者であることに魅力を感じてしまったのでしょう。印刷会社をバリバリやって、子供を育て上げた被告。それには尊敬しかありませんが、時代とインターネットが印刷会社を殺し、喫茶店はcafeになりました。

 

そもそもオーナーってのが怪しいよなあ。閉店に必要な資金80万っていったいなんだ?悪人どもがよってたかって善良な人を食い物にしていると感じた裁判でした。