裁判傍聴ブログ

旭川地裁を中心に裁判傍聴記を書いています

リアル逆転裁判

トラックの運転手をしているタムラは休日に料理を作る。妻が作らないからだ。

その日もタムラはお好み焼きを作った。子供は3人いて、女男女。長女は高校生、タムラは45歳だ。

家事もせずケータイばかり見ている妻に「お好み焼きを食え」とタムラは言った。しかし食わない。そして暴言。景色が赤くなるのをタムラは感じた。

 

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逆転劇

 

次女「お好み焼きを食べなかったことから喧嘩になりました」

タムラは妻の顔面を殴った。最初は軽かったかもしれない。でも妻は激昂してタムラにのしかかる。タムラの頭部を床にゴンゴンぶつける。「あ、いつもと違うな」とタムラは感じた。全力でマウントポジションを返して逆転。妻の顔面を殴りつける。急性硬膜下血腫、顔面打撲。タムラは落ち着くため風呂に入る。風呂から出てきたら妻にさっくりと刺された。119へ。「なぐりました、さされました」

検事「現場に駆けつけた救急の職員の話だと、奥さんは立てひざに包丁を握り締めた状態だということです。」

逆転劇の連続の末、タムラは腹を刺され、妻は全治1ヶ月の重症を負った。

 

家族

長女「下からドタバタ音が聞こえた」「離婚してもいいんじゃない?」

長男「喧嘩するな。するなら別れろ」「包丁使った母が悪い」「ママが来たら困る、存在はない」

次女「パパが帰ってきたら、ママが殺す」

精神的なダメージは次女が重い。フラッシュバックするように当時のことを話すという。

ただ、この家族の希望は近くに被告の母が住んでいたことだ。

 

証人

証人として出廷した被告の母は、とても45の息子がいる女性に見えなかった。きりっとした感じ、被告の家から5分のところで美容室を経営している。

証人の口から語られるのは妻の暴言についてだ。

「子供をつねに怒鳴りつけている感じ。とにかく言葉が汚かった」

今は嫁がいないから家族が落ち着いている。交流ができている状態だ。ということ。自分が息子のサポートをやって、孫たちをちゃんと学校に通わせたいと強く語った。

 

被告人質問

被告はアッシュグレイの長髪をうしろでまとめた、加藤鷹似のダンディな男だった。

被告から語られるのも妻の不満だ。ほとんど家事をしない妻にあきれ果て、何を言っても無視、無駄。

おまけに子供達に暴力を振るう。妻の「子供に言うことを聞かせるには痛くしなくてはダメ!」という言葉に被告は切れる。

「じゃあ、お前にも痛くしたら言うことを聞くのか!」

子供に対する愛情が生んだ悲劇だったのかもしれない。駄目な嫁が起こすべきして起きた事件だったのだろう。そんな空気になった法廷をさらに逆転劇がおそった。

 

検事・裁判官・弁護士・傍聴人「は?」

旭川地方検察局にいがぐり頭の検事がいる。若いしぼそぼそしゃべるけど優秀だ。これ以上内タイミングで、最高の言葉をぶつけてくる。今日もまさにそれだった。

 

検事「え、わけわかんないんですけど、暴力には暴力ってこと?」

被告「いや、痛くないとわからないってんなら、お前も同じ目にあわせてやるって・・・」

検事「急性硬膜下血腫ですよ?頭の骨が折れて1ヶ月の重症なんですよ?」

被告「やらなければ、やられると思って」

検事「暴力には暴力って、それ、子供に説明できる?」

被告「上下関係を分からせてやるため」

検事「上下?」

被告「外で働いているし、多少は・・・」

 

裁判官「ちょっと聞きたいんですけど、上下あるの?」

被告「はい」

裁判官「ふーん、あなたにとってそうなんだ」

 

被告にとって専業主婦は下の存在のようです。きっと弁護士も驚いたでしょう。ほぼ勝利をつかみかけた裁判で、最後に「は?」ってなるような爆弾を爆発させちゃった被告。まさに逆転裁判でした。

 

 

さて、旦那の腹を包丁で刺しちゃった妻ですが、実は別れる気はないようです。

「(裁判は)とことんやってほしいが、子供のことを考えると経済面で必要」

ということです。興味深いキャラクターだ。

そんな被告妻に出会えるチャンスがあります。妻もこれからおなかを刺しちゃった件で裁判が控えているからです。つまり被告人は被告人夫になり、被告人妻は被告人になります。

うーん逆転してるなあ。