裁判傍聴ブログ

旭川地裁を中心に裁判傍聴記を書いています

くどい先輩:道路交通法違反および暴力行為

道路交通法と暴力行為がセットの罪名でした。

 

この裁判を一言でいうとパワハラです。派遣で働くヤバさのようなものを感じました。

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法廷の入口に「審理」と書いてあります。つまり新件でも判決でもないということ。争っている裁判なのでしょうか?

おばあちゃん弁護士と検事が話しています。「今日はよろしくお願いします」と検事。「はいはい、どーも」とおばあちゃん弁護士。このおばあちゃんたまに見るのですが、いつも検事がぺこぺこしています。検察アガリの弁護士なのかもしれません。

 

そんな両サイドと中心にサトウ裁判長が座ります。私はこの裁判長の大ファンで、今回も最高の演出をしてくれました。

 

さて、裁かれる被告は細身の男、年齢は40歳ぐらい。今回は追起訴ということでした。事件の流れをまとめるとこうなります。

 

事件の流れ

派遣会社でドライバー役をやっている被告、明日の仕事のことで後輩に電話

「食事中なので」と電話を切る後輩

一方的に電話を切られてキレる被告

無免許、無保険のマイカーを使って後輩の家へ

後輩を連れ出し車に乗せる

後輩を叱って後頭部を張り、顔面を殴る、胸ぐらをつかむなどの暴行を加える

後輩の母親が警察に届け出る

 

ということでした。道路交通法違反は無免許で無保険の車を運転していたということはわかりました。無免許だったのは飲酒運転もどこかでやっていたらしく、蛇行運転で呼気0.55を検出、免許取り消しとなっていたらしいです。

 

それでも車を買っちゃう被告。「なんで免許再取得前に車かっちゃったの?」と検事に突っ込まれます。「まちがいでした」とうなだれます。

 

そしておばあちゃん弁護士が質問に入ります。被告の壮絶な人生にスポットライトをあてようとしました。

 

被告の人生

被告は中学生ぐらいのときに、酒飲みで仕事をしない父親を殺しています。養護施設に入ったあと、職業訓練所に入り仕事を始めます。それから自分で運送業を始めました。

 

被告の始めた運送会社は成長して従業員を何人か雇う規模になります。20年以上事業は継続し「人生の9割はトラック」ということでした。

でしたが無免許でつかまり免許取り消しになります。車両を処分して派遣会社で働き始めたのです。

その派遣会社に自分と似たような境遇の男と出会いました。今回の被害者である後輩君です。後輩も父親がパチンコびたりで働かず、縁を切ったというものです。

「愛のムチで、悪いことをしたとは思っていない」と被告は供述しています。今回のことは説教であり、後輩のためにやったことだという主張をします。

「被害者が被告はヤクザだといってますが?」と弁護士がいいます。それに対して「ありえません、逆に奴は母親がヤクザだといってました。自分は父親を殺してしまいま・・」

「そんなこと聞いてないから!」

サトウ裁判長の喝が入りました。ファンとしてしびれる瞬間です。「かわいそうな自分話」が始まってしまう前に絶妙のタイミングで被告を黙らせました。確かに裁判には全く関係のない事柄です。

そのあと検事のねちっこい突っ込みがあって、再びサトウ裁判長の質問が始まります。

 

名推理サトウ裁判長

飲酒運転をやらかすような人間をあなたは雇うのか?という質問からはじまり、事件の中核となる言葉がサトウ裁判長から発せられました。

「っていうかさあ、くどかったんじゃない?あなたの話」

「酒飲んでからんでたんでしょ?くどくど、長々と。そりゃ『食事中です』って切るよ」

「ずいぶん飲んでたんでしょ?」

「説教?それ今の言葉でパワハラっていうんですよ」

 

私の頭の中で映像が浮かびます。ああ、そうか。普通に仕事の連絡して「食事中です」って切られるぐらいで激怒しないもの。飲酒の常習性がある被告がねちっこく後輩にからんで長電話している映像が目に浮かびます。そしてそれをめんどくさそうに聞く後輩、そりゃ理由つけて切りますよ。

 

求刑1年6か月

弁護士の意見は「車を売るから、もう酒気帯び運転できません」というわけのわからないもの。起訴猶予になった6件の窃盗は5年前のものだからもう大丈夫!という弁護なのかどうなのかよくわからないこともいっていました。

 

派遣は怖い

派遣会社で回す工場(玉ねぎの加工)で働いてたことがあります。何人かとしゃべったし、仲良くなれたと思いましたが、一人だけヤバイ奴がいました。仕事をしないし、えばるし、カッコつけるし、嘘をつきます。すぐに周りからクレームがでて、派遣会社にもどされました。

あそこまでヤバイのはなかなかいません。今回の被害者である後輩君も、ねちねちとクドイ先輩にからまれて迷惑だったでしょう。きっと自分が起こした運送会社の武勇伝を語られていたはずです。

今回の裁判を傍聴して、派遣で働くのってリスクがあるのだなと思いました。極端なことを言えばクズと仕事することほど疲れることはないのです。派遣は安定した収入も得られないし、緊急事態が起こって身を落ち着かせるぐらいの気持ちでいたほうがいいでしょう。

ボスは慎重に選ぶべきです「この人だ!」と思ったらぶん殴られてでもついていくべきで、そう思えないならとっとと距離をとりましょう。