裁判傍聴ブログ

旭川地裁を中心に裁判傍聴記を書いています

自殺未遂のベーコン泥棒:簡易裁判所、窃盗

もし、明日死ぬとしたら、何をするでしょうか。「ベーコン食べたい」という希望を持った男がいました。ベーコン食べたら自殺する。そんな絶望のどん底にいる被告でした。そんな34歳の男性の話です。

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被告は旭川市のスーパーで、ベーコン(4袋セットのやつ)とサラダとチキンカツを万引きします。警備員に呼び止められて「これ、どうしたの?」と言われます。

「はなしてください」と言う被告。

「あばれるな、あばれたら強盗になるぞ」という警備員。

そこで被告は盗んだベーコンごと上着を投げつけます。そこから逃走するのですが、上着の中には免許証が入っていました。

警察が免許証の住所に行くと、ガレージで首を吊ろうとしている男性を発見。逮捕、拘留され起訴されたのです。

 

なぜベーコンを盗んだか

 

被告は高校を卒業後、派遣会社や会社員として生活していました。地元旭川を離れ、姫路にいた時に借金。「仕事を辞めた時の生活費として」借りていたらしいです。

漫画を盗んで、それを売ったお金で生活しようともくろみます。失敗して、最初の逮捕となりました。旭川に帰ってきて、母親と同居し働き始めます。

その仕事は10万ちょっとの収入です。被告の借金は100万ほど。「働いても返しきれない」と絶望します。借金の関係で母親とも孤立、今回のベーコン代は母親が立て替えましたが(被告の所持金は100円ちょっと)傍聴席には誰もいませんでした。

孤立し、精神の沼に埋まっていく被告。原因はすべて借金です。借金があるから、仕事に張り合いが無く、母親とも孤立してしまいます。

5年ほど前に生活費のために借りて、それでも返しきれないという利息。おそらくグレーな金利のものでしょう。検事が「弁護士先生に話してる?」と聞いたほどでした。

 

簡易裁判所の、こうした雰囲気。これこそ傍聴する甲斐のあるものです。ベーコン食って、気合を入れて、金になる仕事を探せば、被告の人生は一変するでしょう。

 

裁判長が「今回の裁判は借金解決のきっかけになるだろう、せっかく生まれたのだから、これを機に立て直しなさい」と言っていたのが印象的です。